人生の岐路に邂逅あり!人生の喜びは邂逅にあり!!

 今回は、昨年水害で水田や橋が流され、食用や酒造用原料米の「白玉」や「亀の尾」が全滅したことを聞いて「希望の種」を贈っていただいた山形の庄内町を訪問しました。

 中谷地区から「びっきょの会」として17名が参加。

今回は山形県と鹿児島県の深〜い絆や関係を知る旅になったキャラバン隊番外編です。

阿部亀冶家から贈呈・種子保存用「亀の尾」の圃場
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本格焼酎の香り
「故郷探訪キャラバン隊」
(【故郷探訪キャラバン隊・山形編】)
【番外編】   

 山形県東田川郡庄内町余目から「希望の種」が届いた!


 「復旧後、この米で元気になって下さい」と「亀の尾」の種籾が15キロ贈られてきた。その種籾はコシヒカリやササニシキなどの基になった「亀の尾」の産みの親“阿部亀治”翁の子孫が伝承する田から譲り受けて贈られた貴重な種だった。また顕彰会の承認も得ている由緒ある種籾であった。

         
 ◇皆で山形県に行ってお礼を言いたい!!
 親切をもらいっ放しじゃいけない。この嬉しい気持を伝えに行きたい。

 昨年7月、鹿児島県は想像を絶する大雨に見舞われ、曽於市財部の中谷地区も橋を流され、家が水没し、田畑が泥で埋まり、ほとんどの稲が壊滅した。中谷地域はお歳寄りも多い過疎地の小さな山村だ。関之尾の滝の上流であり、大淀河水系の源流が注ぐ自然豊かで「おいどんの米は美味んめどォ!」と自慢の田んぼが見るも無残の災害。夢も希望も無いと肩を落とした。そんな折に心温まる「希望の種」が贈られ、皆でお礼に行こうとした矢先に三陸の地震と大津波。

 ◇山形訪問 決定!


◇この人紹介◇
その前に紹介したい人がいた。びっきょの会とは無縁だけど、同じ曽於市で米作りで協力をもらっている末吉町の川添光博さん。
長粒米の試験栽培から従事。亀の尾も保存用として二度と災害で失わないように、新田という絶好の田んぼを借り栽培。「山形に行って来ま〜す。土産は日本酒!」と声をかけて稲の成長を観に立ち寄った。


山形県に行っどぉー! 鹿児島空港

この方は庄内町へお礼の市長メッセージを託された曽於市役所企画課の荒武圭一さん。
びっきょの会メンバーと我々関係者を含め17名。誰かが日本手ぬぐい“御一行様案内”を持参して手渡した。内容は会名と鹿児島、参加者名と人数。極めつけは「しょつくれ(焼酎食らい・・呑み助)」

到着前から珍道中も予想される。

台風に向かって飛んでいく。

色々と想像したり、初めての体験することやお礼を伝えるまでを考えると心が躍る。

◇山形到着:台風と機体不良の為、羽田乗継が遅れる



  車窓から見渡す限りの田園風景

一時間半も遅れて機体を換え飛び立った。本土を跨ぎ、いざ、山形へ!日本は山が多い。山山山だ。切立った山肌が流れていきながら着陸態勢に入った後、庄内平野から遥か海岸線まで目の中に飛び込んできたのは延々と続く緑と黄金色した稲や田畑だった。何と広大で特化された風景だろう!降り立てば、また一つ〃異なる物が目に飛び込んでくる。我々ならではの疑問や質問が飛び交う。
 
     余目ホテルの若女将さん
 バスガイドさんかと思いきや?ボランティアで協力して案内を務められたホテルの若女将「河村奈美」さん。今回、種籾を贈る為に沢山の努力をしていただいた「うめかわ酒店」の三浦政司さんに賛同して帰る日までお付き合いいただいた。しかし・・素人にしては歴史や文化まで観光に繋げて素晴らしい!この方も地元で色々と奮闘しながら町興しなど考えるお一人。

◇庄内に入る:庄内と鶴岡とは何かが違うらしい
先人達はたくましい!:山居倉庫・本間家
NHK朝の連続ドラマ「おしん」の撮影でも知られたスポット。今も利用されているという大きな倉庫並木。正面は観光や物産案内や歴史資料館の施設として開放されている。先が見えないほど何棟も大きな倉庫が並ぶ。大欅の並木も壮大で美しい。写真を観るより実際に行かれた方がお薦め。倉庫群の横には河があり、船で江戸や上方まで運んだ歴史が石垣や船着場がそのまま残っている。それにしても大規模なものだ。ここに全ての米や物資が集って、さぞかし、賑わっていたのだろう。現代に生きる我らの町の農業施設が江戸時代、明治に負けている。昔の人はたくましい!

豪商、本間家も凄かった。山形の心意気が伝わってきた。これも一見の価値ありだ。

 

庄内町「亀の尾の里」資料館
鹿児島から山形へ来た目的の一つは「亀の尾」発祥訪問にある。また実際に観て感じて帰りたい。山形到着から順序良く歴史を交えて文化や地域について説明を聞きながら各所を案内され、着いたところが「亀の尾の里」資料館。そこでは亀の尾については一人者である人々が首を長くして我々を待っておられた。

待ちに待った劇的な瞬間!
鹿児島の下川。山形の亀の尾伝承者、阿部亀治子孫の阿部耕祐さんと初対面した記念すべき瞬間だ。これが一番我々が思い浮かべてきた重要な場面だった。あの阿部家の血筋の方に会ってお礼を述べたい。頭を下げたい。亀の尾が本当に希望の種として絆を深めるものにしたい!その為には心から繋がり継続してお互いの地域が良くなっていかねばならない。行政の大きなプロジェクトと違い一個人、民間の小さな動きではあるが、夢も期待も大きく育ててみたい!
     阿部耕祐さんと下川幸春さん
 山形が誇る米の品種資料
   米品種と系統の資料の展示。品種については独自に調べてもらいたい。見ただけでもこれだけの違いがある。部位各所がそれぞれに異なるのが興味深い。一番右に赤い文字で「つや姫」とある。新品種で県で奨励し一番売り込みをかけている銘柄。その意気込みや力の入れ様は半端じゃない。また、本当に美味しいのだ!
 
 「亀の尾」顕彰田の視察:小さな亀ノ尾“農業土手サミット”
   
 阿部亀治翁の阿部家子孫が残す「亀の尾」の栽培田。詳しく説明されているのが元阿部亀治顕彰会会長であり、山形県で多くの農家さんへ農業指導をされてきた株_村通信社という出版社の常務の「松浦一宇」氏。稲作技術で農家を結ぶ月刊誌。80年も続いているらしい。ここで初めて「米だけど、されど米」の山形の米に対する意気込みを感じることになった。経験から得たデータと徹底した周到な管理や米に対する愛着が一言一言感じた。ともに松浦氏の人物にも興味が沸いて来た。この日は台風の影響で強風。不思議だ鹿児島では一雨ごとに自然と倒伏していく品種だと思っていたが、台風の強風でも倒れていない。今年はなぜか?倒れていないと松浦氏も不思議だと言われた。我々が視察に来るのを亀治翁が守っていてくれたのかも知れない。一時のブームで終らせないのが「亀の尾」を産んだ亀治翁への恩返しではないだろうか?継続して取組む姿勢を改めて実践して伝えている蔵元「鯉川酒造」も地元の篤い有志のお一人だ。


 米に関して細かく松浦さんが説明、また指導をしていただいた。下川さんも鹿児島での亀の尾栽培で得た経験を語りながら情報交換をする。身を低くして稲の穂や生育状況を観察する。普通の農家さんは毎年のことでさほど珍しくもないだろうが、我々にとっては毎年が異なる環境の中での取り組みだけに油断の出来ない責務を感じながら栽培してきた。農家ではない私が農家以上に米を観察する姿は「何が解るか?農家じゃないのに・・」と失笑することもあるが、解らないから農家さん以上に小さなところまで気になる。また、それを委託契約を媒介する手前、厳しく責任を持って管理するのが務めだとも考えている。この風景凄いことだ。下川さん、阿部さんを含め田んぼの土手一列に並んで小さな亀の尾“農業サミット”だ!
 
鹿児島・山形:亀の尾“農業サミット”
 一夜目の宿「余目ホテル」
   一日目、お世話になる余目ホテル。駅前の昔懐かしい旅館。部屋も何もかもレトロ。財部町にも日豊本線財部駅の前に谷口旅館というのがある。鉄道離れで宿泊客も少なくなって街も寂れていくのが実情。その中でこの佇まいを残してもらえるのは嬉しいことだ。出張族にとってもしばしの癒し空間を味わえるスポットになりそうだ。女性の一人旅にも、友達と相部屋で過ごしても最高のお薦めの宿だ。今夜は
 ◇どれが・・いいかなあ?・・交流会会場・商工会議所内「コア・アルザ」にて
   
 懇親会用に準備された地元の酒やワイン 鹿児島から持参した本格芋焼酎 
  曽於市長メッセージの後、昨年の大雨で甚大な災害に遭った曽於市財部町中谷地区を代表して「希望の種」を贈っていただいたお礼の言葉を述べる“びっきょの会” 鬼丸久雄会長。薩摩鹿児島と山形との歴史的関係、西郷さんの敬天愛人の言葉など南州神社等の深い関わりも交え、一気に我々の感謝の心とこれからの思いが伝えられた。このお陰で全ての挨拶が終った後は一斉に無礼講の嵐になった。庄内町にある鯉川酒造の高松誠吾杜氏とも同席になって地元のお酒を酌み交わした。
  地元町長の挨拶から庄内藩元藩主“酒井忠久”氏などの挨拶もあった。この正面に座られているのがその現当主酒井氏。温海町と曽於市大隅町の戊辰の役の壮烈な戦いの経緯や西郷、桐野利秋との関わりがあり、その話を聞かれると、うなづかれて隣の庄内町議会議長「富樫透」氏がそうですか?と聞くと「その通り」と言われた。 想像以上にすぐの皆さんと打ち解けて、沢山の方々と話しに夢中になった。大震災の話、被災の事、互いの歴史の話、そして米(亀の尾)作りと農業、酒造りの話と話題はどんどん広がっていった。
  二次会は宿の「余目ホテル」の大広間。商工会議所の懇親会場から歩いて帰り、すぐに突入!議員さんも関係者も意気投合を超えて前向きな話題が炸裂全開。地方の意気込みと負けん気はどこも同じ。そうでなければ生き残っていけない。日本を支えているのは南も北も地方の力だ。この夜はここだけが燃えているかのように盛り上がった。やっぱり、皆、いい人ばかりだ。訪ねてきた甲斐があった。また来ますと固く約束した夜だった。 
 ◇鹿児島と友好!「南州神社」
   
 空港から余目に向かう途中に「南州神社」がある。当初、会津と薩摩のように遺恨が残るような思いが山形にもあるのでは?ないかと心配していたが、あの仙台で島津藩七士の墓を篤く処遇されているように山形でも心配することでは無かった。やはり、西郷さんらの計らいがここでも通じていたのである。ここでも神様として崇めたてられていることに驚いた。
 ◇亀の尾で仕込んだ日本酒 : 清酒蔵『鯉川酒造』
   
 亀の尾発祥の地だけに伝承も復活も顕彰も栽培にも力を注ぐのはどこにも負けていない。食用米亀の尾を清酒用酒米として取り上げ考え出し、一躍、ブームに火を着けたのも地元清酒蔵だ。一時はコミックに掲載され、TVドラマ化し、亀の尾サミットなども開催された。その影響から「侍士の門」や亀の尾で仕込む焼酎「甕御前」も誕生した。山形に来たら、その亀の尾を早くから目をつけ、人並以上に関わってきた人物と蔵元に立ち寄らねば、話にならない。それは清酒「阿部亀治」という清酒を製造する『鯉川酒造』。北海道の出張から帰られたばかりの社長から亀の尾にかけてきた物語りと実績、そして栽培から品質管理、造りまでの一貫した考え方までを聞くことができた。裏にある田んぼも見せていただいた。蔵元なのに面白い人物だ。我々と肌が良く似ている。これが私の理想とするところだ。早く、逢いたかった。亀の尾(夏子の酒)ブームも去り、当たり前に慣れ過ぎて価値感が薄れた酒販店や消費者も感じられるが、物語や継続の難しさ大切さ有難さを知るものからすれば、鯉川酒造の佐藤社長の考え方は一寸も違わず一致する。だからこそ、流行に流されず伝えていかねばならないと思った。
 ◇阿部亀治翁顕彰会 祭事:小出新田八幡神社 顕彰碑前にて
   
 雨の中、阿部亀治翁顕彰祭が執り行われた。80年以上も続けられている。一農一個人に対してここまで大切にされている故人に大きな敬意を感じた。奉典には阿部家、顕彰会会長、八幡神社氏子氏子会長、中村熊谷神社氏子会長、庄内町議会議長、庄内町農業委員会会長、最上川土地改良区理事長、庄内たがわ農業協同組合代表理事組合長、余目町農業組合代表理事組合長、山形県農業総合研究センター水田農業試験場、山形県庄内庄内総合支庁産業経済部農業技術普及課長、庄内農業共済組合組合理事長、第四学区部落会長会会長、鯉川酒造株式会社代表取締役、亀ノ尾栽培者代表、鹿児島県・曽於市「びっきょの会」代表、小出新田部落部落会長ら他多くの関係者が参加。 玉串奉典
庄内町町長:原田眞樹氏 
 顕彰会にて市長メッセージ届ける  ◇天皇献上酒で顕彰の杯
   
池田孝曽於市長 のメッセージを顕彰会の挨拶の冒頭で読み上げるのは曽於市役所企画課の荒武さん。昨日の懇親会に続き、緊張の連続。まさか・・こんなに厳かで歴史のある会だったとは本人の感想。 阿部亀治顕彰会で出された阿部亀治という大吟醸。鑑評会受賞した銘酒で天皇献上酒された「阿部亀治」。蔵元にこの日の為に少しだけ残してあったもので、極上のひと時を心行くまで堪能させていただいた。 
 ◇阿部家訪問
   
 阿部亀治翁が住んでいた家へ挨拶に伺った。県議・町長と一緒に仏壇に手を合わせて、今回の件のお礼と報告をした。鴨居に掛けてある受勲の証を見せてもらった。阿部家子孫の嬉しいやさしい言葉もかけていただいた。山形まで来て本当に良かった。
 ◇歴史・文化:藤沢周平記念館・致道博物館など
   
 唯一、山形探訪として歴史や文化を紹介してもらった。見識を広げるために立ち寄った。
 山形が一押しの食用米「つや姫」:地元飲食店・蔵屋敷LUNAにて
  今、山形県が一番売り込みに力をかけているのが「つや姫」という米だ。顕彰会でも試験場所長から説明があった。鹿児島へ帰る直前の昼に立ち寄った料理店でもノボリを立ててPRするほど積極的である。びっきょの会の下川さんらがさっそく「つや姫を!」と頼んだ。御ひつから本当に艶のある香りも粘りもある実に美味い“ご飯”!!つい、おかわりが出てしまった。まだ鹿児島では奨励を聞かないが、全国では大分まで栽培が始まっているらしい。良い情報は早く物にしなければ農業も進歩も競争にも勝っていけないのでは? 
 ◇山形県の特約店紹介
   酒処だけに日本酒が店内いっぱいのうめかわ酒店さん。その店先には「侍士の門」の天幕。業務店商いだけじゃない。来店客のために陳列してある店内。消費者目線と同じ酒屋目線で見ても良い店だと納得できる内容。この日、鹿児島から来たあ客さんで店内は満杯。「もう閉めてもいいくらい、買ってもらいました・・」風評被害もあると心配していたので、少しは元気が出てくれたかな?
 


主催   日本・侍士の会



山形で名刺交換した方々

・財団法人致動博物館館長:酒井忠久
・山形県議会議員:田沢伸一
・庄内町町長  : 原田眞樹
・庄内町副町長 : 奥山賢一
・ 〃 議会議長:富樫 透
・亀ノ尾の里資料館・歴史民俗資料館館長:高橋逸夫
・庄内町農業委員会会長:松浦一宇
・JAあまるめ 営農部部長:阿部政樹
・鯉川酒造梶@代表取締役社長:佐藤一良
・〃製造部長兼杜氏:高松誠吾
・はらぺこファーム:高橋紀子
・山形新聞社 酒田支社編集部記者:相原健佑
・潟Rミュニティ新聞社 編集部:富樫 庸
・株_村通信社 常務取締役:松浦一宇
【編集後記】
庄内町は亀ノ尾が援助米「希望の種」として贈られてきた縁から訪問する機会を得た。
単に感謝の意を訪ねて伝えることと阿部亀治翁顕彰会参加や阿倍家と出会えることで
より近い交流が始まる期待を持って鹿児島を発ちました。思いもよらない歓迎や本当に優しい対応に驚きと新たな感謝の念が湧きました。このせっかくの出会いを一合一会だけに終わらせないようにしたいと願うばかりです。山形のみなさん、本当にありがとうございました。お互いにもっと良いところを知りあって元気になりましょう!

次回の予告
直前まで「ミステリー

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